エリザベス ペイトン展のギャラリートークに参加した。
作品リストによれば、この展覧会はエリザベス ペイトンの国内初の個展。42点の作品は小品が多く、こじんまりとした展示室や建物によく似合っていた。
参加者は15-20名ほど。展示室が狭いので、移動の際にぶつかりそうだ。ギャラリートークは30分ほど。狭い展示室をテンポよく進む。印象的だったのが、展覧会担当者の作家、作品への思い入れ。毎朝、作品すべてを点検しながら一点ずつ「おはよう!」と声をかけ、夕方、展示室を閉める際には「おやすみ!」と声をかけるそうだ。
作家は巨大化、抽象化する現代美術の傾向とは異なり、作品を「感情を入れる器」と考え、対象をとても親密な距離感で描いているそうだ。確かに、作品が小さいので、茶器のように、両手で包むようにして鑑賞することもできそうだ。最初、小さく、あっさりとした印象だった作品が、トークを聞いた後では、とても生き生きと見えてきた。
そういえば、名古屋市美で開催中の「河村るみ展」でも、同様の体験をした。
初めてパフォーマンスを見たときは、映像の技術的な面に興味をひかれたが、アーティストトークを聞き、パフォーマンスで使われる氷と、それが手の平で解けて水となり、届く先を知った後では、パフォーマンスが全然別のものに見えた。
ことわざに「百聞は一見に如かず」というけれど、「人の話をよく聞く」ことも同様に大切ということを再認識。
杉山 博之
エリザベス ペイトン :Still life 静/生
原美術館 2017年5月7日まで
河村るみ 介-生と死のあいだ
名古屋市美術館 2017年2月26日まで
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