名古屋ボストン美術館『ルノワールの時代展』ミニツアー

カテゴリ:ミニツアー 投稿者:editor

レクチャルームにて

レクチャルームにて


 7月3日日曜日、じりじりと暑い夏の日差しのもと、名古屋ボストンのルノワールの時代展ミニツアーが行われました。展覧会はテーマごとに6章に分かれており、近代におけるヨーロッパの実状を知ることが出来る良い機会になりました。
 当時フランスでは、都会と田舎が全く逆のものとして対比されていました。都会では美術館やカフェを楽しむ人々がテーマにされていましたが、田舎では教会へ行ったり農作業に従事する人々の営みがテーマになっています。
 また、社会風刺もこのころ盛んに行われ、月刊誌や風刺画が人気を得ていました。ドーミエの風刺画も、この時代の様々な特徴を捉えていて、面白いものでした。
 同時に、都市の市民生活の困窮から逃避するために田舎へ憧れを抱く作家たちも現れ、田舎を希望として、または昔からの人間のあるべき姿として捉える作品も、多く制作されていたようです。
解説していただいた学芸員、柳沢宏美さん

解説していただいた学芸員、柳沢宏美さん

遠いけれど、とても気になる青森(3/3)

カテゴリ:アート見てある記 投稿者:editor

 今回、最後に立ち寄ったのが「国際芸術センター青森」(通称ACAC)。設計は安藤忠雄。「見えない建築」をテーマに、緑豊かな周りの地形に建物を埋め込むように作られています。場所は、青森公立大学の中。JR青森駅からバスで50分。あいちトリエンナーレのスタッフからお奨めと聞いたので、訪問先に組み込みました。

 施設は、展示棟、創作棟、宿泊棟で構成され、滞在制作も行われています。施設の周りには22点の野外彫刻が設置され、名古屋市美でもおなじみの青木野枝の「雲谷-1」(モヤ-1)や、河口龍男の「関係-時の庭」、「関係-時の杖」を見ることができます。

 しかし、・・・。案内板に従い、駐車場奥のACACに向かうと、所々に「クマ出没注意!」の看板が出ています。このあたりにはクマがでるのか・・・。少々心配になり、施設のスタッフに尋ねたところ、「目撃されたのは大学の敷地からかなり離れたところだから心配ない」と説明され、一安心。地図を頼りに、作品を一回りしました。

 建物だけでなく、作品も草深い中に設置され、クマではなくクモやら羽虫やらと遭遇しながら、気分はほとんどフィ-ルドアスレチックでした。

 美術館と違って、「どうぞ皆さん、来てください。」という雰囲気の場所ではありませんが、野外彫刻を見て回っているときにも、なにかの材料と思われる大きな荷物を運ぶ作家らしき方を数名見かけ、ここがリアルな制作の拠点なのだなと感じました。そういえば、長久手の愛知県芸の雰囲気に似ていることに、後になって気がつきました。

杉山 博之

青木野枝 雲谷-Ⅰ

青木野枝 雲谷-Ⅰ


 

遠いけれど、とても気になる青森(2/3)

カテゴリ:アート見てある記 投稿者:editor

フラワーホース

フラワーホース


 青森県立美術館に続き、「十和田市現代美術館」を訪問しました。前日のうちに、JR青森駅から十和田市までバスで移動。途中から降り始めた雨は、十和田市内に入るころには土砂降り。残念ながら、現代美術館をライトアップする高橋匡太の「いろとりどりのかけら」は、次回の楽しみとしました。

 翌日、美術館が開くころには雨も上がり、通りをぶらぶらと美術館に向かいます。美術館前の通り沿いにも、多くのパブリックアートが設置され、草間彌生の「やよいちゃん」やらエルヴィン・ヴルムの「ファットハウス」が並んでいます。

 美術館に着くと、ちょうど幼稚園の送迎バスから降りた20名くらいの園児と、数名の付添の大人と一緒になったので、彼らが向かった展示室とは反対の企画展示室から回ることにしました。チケット売り場で、館内の注意事項の説明があり、企画展示室は撮影OKだが、常設展示室、および館内から中庭、道路方向の撮影はNGであること、一部の展示室は暗いこと、段差があることなどを教えてもらいました。

さて、それでは展示室へ。
企画展示室は「大宮エリー」展で、”美術館で初めての個展”とうたわれていました。さらさらと見て回ったら、静かになった常設展示室の方へ。展示室に入ると、「びっくり」。本当に「びっくり」します。どの作品も、事前に写真で見ていた印象より、強烈な存在感を感じます。
そんななかでも、あいちトリエンナーレ2016に出品する森北伸の「フライングマン・アンド・ハンター」や、あいちトリエンナーレ2013に出品していたオノ・ヨーコの「念願の木(ウィッシュ・ツリー)」を見ると、ほっとします。
ちなみに、こちらの木は「りんご」だそうです。

 来館する前は、前庭の「フラワーホース」や、ショップ兼カフェの「オクリア」のような大型作品のイメージが強かったのですが、実際に見て回ると、山極満博の「あっちとこっちとそっち」や森北伸の作品ように人目を避けるように設置されているものにも、ほのぼのとした楽しさを感じます。
 もう少し名古屋の近くにあればいいのにと思うことしきりな美術館です。

杉山 博之

やよいちゃん

やよいちゃん