「レオナール・フジタからの贈り物 小さな藤田嗣治展」ミニツアー

カテゴリ:ミニツアー 投稿者:editor

JR西岐阜駅から会場の岐阜県美術館に向かって歩いていると、キンモクセイの甘い香り。すっかり、秋ですね。参加者は11人、文字通りの“ミニ”ツアーでした。

岐阜県美術館庭園

岐阜県美術館庭園


◆「小さな」展覧会で、大きな収穫
 お目当ては「小さな藤田嗣治展」。作品数は125点ですが展示はわずか3部屋。小ぶりな展覧会です。理由は、とても小さな作品が多いから。作品のいくつかは藤田の妻、君代さんが手に取って間近で見ていたもので「日本の美術館として初公開」。小さいながらも細密に描かれ、額縁まで藤田の特製です。岐阜まで足を伸ばした甲斐がありました。
◆始まりは、画廊で出会った「小さな作品」
 当日の案内は、岐阜県美の廣江康孝学芸員。1時間にわたる熱いギャラリートークでした。彼は展覧会の入口でB全版のポスターを指し「そこに印刷されている図版(6cm四方=原寸大)を見てください」と言うのです。彼は、画廊でこの作品を見た時、一目で藤田の作品と確信。これが注文や展覧会への出品によるものではなく、《Pour Kimiyo(君代のために)》制作されたものと分かったことが、展覧会企画の出発点になったとのことでした。
◆キャプションがない
 不思議なことにどの作品にも番号札が付いているだけで、キャプションがありません。出品リストも「制作年、技法、寸法のみ記載」が多数。「個人で楽しむための作品なので作品名が不明なものが多く、作品から得られる情報のみを記載しました。」と、廣江氏は解説。
◆見どころ満載
 展示のテーマは「こども」「女性/猫」「Pour Kimiyo」「フジタの夢」の四つ。「こども」から「Pour Kimiyo」までを展示室Ⅰ-AとⅠ-Bに、「フジタの夢」は展示室Ⅰ-BとⅠ-Cに展示。
 女性の絵の前で「藤田は、とても速描き。薄い墨でアタリ(大まかな輪郭や陰影)を描いたら、下書きなしに何の迷いもなく線を描いたようです。傍から見ていると、雲のような薄墨の周りに次々と線が描きこまれ、あっという間に女性像になったという感じだったでしょうね。」と、廣江氏。藤田の技量の高さ、腕の確かさにびっくりします。
展示室Ⅰ-B が本展のメインディッシュ。3種類の「乳白色のフジタ」を展示。入って正面が20年代の光輝く乳白色、右手の壁にモスグリーンの乳白色、左に曲がり左手の壁に黒を背景にした乳白色。とりわけ、20年代の光輝く乳白色の再現では、照明に苦労したそうです。
また、「Ⅰ-Bの入口から左斜め前の「草木図」3点を眺めた後、そのまま進み間近で見て下さい。入口ではまとまって見えた草木が、近寄るとバラけて来ます。これは藤田マジックで、10メートルくらい離れて自然に見えるよう描いたから。」と、廣江氏は種明かし。
この外、ガラスケースの中の傘をさす少女の絵(7.4cm×5.8cm)では、雨に濡れた石畳に映った空の色合いの描写に、作家の腕の確かさを感じました。
◆今、注目の“FOUJITA”
廣江氏によれば、2014年は全国43か所で藤田関連の展覧会が開催されたそうです。この近辺でも名古屋市美の「画家たちと戦争展」、11月14日公開の映画「FOUJITA」、来春の名古屋市美など藤田関連が目白押しですが、今回の「小さな藤田嗣治展」は日本脱出後の50年代に藤田と君代夫人のプライベートな空間を彩った作品中心という異色の展覧会であり、必見です。ただし、「残念ながら作品を集めるのが難しく、二回目の展覧会は無い。」とのこと。
会期は11月1日(日)まで。巡回はありません、お早目にどうぞ。
                                     Ron.
解説してくださった廣江学芸員

解説してくださった廣江学芸員

今後のミニツアー予定

カテゴリ:協力会事務局 投稿者:editor

名古屋市美術館協力会の今後のイベント予定です。秋も深まる頃、芸術をたっぷり楽しみましょう。
会員みなさまには順次案内を郵送いたします。

9月27日(日) 岐阜県美術館「フジタ小品展」ミニツアー 終了しました。

10月10日(土) 名古屋市美術館「ラファエル前派展」ギャラリートーク 終了しました。

11月15日(日) 豊田市美術館「ソフィ・カル展」ミニツアー 午後1時半 終了しました。
豊田市美術館開館20周年記念として11月14日、15日は全館観覧料無料

1月16日(土) ボストン美術館「ヴェネツィア展」ミニツアー 午前10時

富山県立美術館にて BankART_大霊廟Ⅱ プライウッド新地 ヨコトリ_パオラ・ピヴィ_まだ誰も来ない MOTサテライト 目印はこれ! 河村るみさんをお迎えして 急遽解説してくださった角田学芸員 アルテピナコテーク さいたまトリエンナーレ 交流会にて 240の棺/Arigatou Sayounara 《帰ってきたJ.L.》は扉の向こう アンタイトルド・ドローイング・プロジェクト