デュフィ展(愛知県美術館)ミニツアー

カテゴリ:ミニツアー 投稿者:editor

 愛知県美術館では12月7日(日)までラウル・デュフィ(Raoul Dufy 1877-1953)の回顧展を開催しています。そこで、11月23日(日)にミニツアーを実施。当日の参加者は19名。午前10時の開館を待って入館。愛知県美術館の森美樹学芸員によるギャラリートーク形式の解説を聞きながら、作品を鑑賞しました。

展覧会担当、森美樹学芸員

展覧会担当、森美樹学芸員

≪初期は、様々な様式を模索≫
 最初に立ち止まったのは「夕暮れ時のル・アーブルの港」の前、20代前半に描かれた暗い色調の絵です。それが、印象派の影響を受けた明るい色調の「サン=タドレスの桟橋」、マティスの影響を受けた「トゥルーヴィルのポスター」、セザンヌの影響を受けた「レスタックのアーケード」へと様式が様々に変遷していくのがよくわかります。
 ≪油絵だけでなく、木版画、テキスタイルも≫
 展示は4章に分かれており、第2章ではデュフィが彫った木版画やテキスタイル(織物、布地。展示されているのは綿布やシルクにプリントしたもの)、ドレス(デュフィのテキスタイルを素材に仕立てたもの)も展示されています。
テキスタイルは「木版画で身に着けた技術を生かした作品」とのことですが、目を惹きつけられました。いずれも島根県立石見美術館の所蔵品です。森さんの解説によれば「何色も使うテキスタイルだと、プリントする過程で、版を重ねるうちに描線と色がずれることがある。デュフィは、この線と色のずれを意識的に使い、プリントされた模様に変化を出している。」とのことでした。
≪様式の確立≫
第3章は再び絵画に戻った時期で、チラシに使われた「馬に乗ったケスラー一家」など、デュフィの様式が確立した時期との解説でした。テキスタイルで始まった「線と色のずれ」というスタイルは絵画でも使われます。
個人的には「ニースの窓辺」が良いですね。チラシの裏面に使われていますが、左右の窓から見える景色(海と砂浜)と真ん中の鏡に映る室内が、三幅の掛け軸のように見えます。「青が綺麗」というだけでなく、黄色と赤との対比もgoodです。
チラシの裏面にある、陶芸家アルティガスと共同制作した陶器「浴女、騎手、馬が装飾された庭」も第3章で展示されています。
≪画業の集大成≫
最後に、両側に水彩画が飾られた通路を抜けると第4章の展示で、チラシ表面の「ヴァイオリンのある静物:バッハへのオマージュ」、チラシ裏面の「クロード・ドビュッシーへのオマージュ」、「黄色いコンソール」は、いずれもここにあります。
鮮やかな色彩と書道のような線描、どれもデュフィのスタイルですね。
なお、抜けてきた通路にあった花の水彩画も第4章の展示でした。花の水彩画は湿らせた紙に描いたもので、絵の具の微妙なにじみがきれいです。
作品を見ていたら「午前11時から学芸員によるギャラリートークを始めます。」という館内放送が入りました。                       Ron.

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