夜空のミュージアム

カテゴリ:アート見てある記 投稿者:editor

 トリエンナーレもあと3週間となった金曜日の夕暮れ、名古屋市美術館に行って来ました。初めて見る夕闇の中の美術館は窓からの光が輝いていてとても綺麗です。今回の表玄関にあたる裏庭は水辺を囲むように明かりが灯されています。

 中に入ると、昼間あんなに暗く感じたアルフレッド・ジャーの空間が意外に明るく見えます。人間の目って不思議ですね。

 次は、今日一番見たかったイ・ブルです。夜空の下の「星の建築」はどんな姿を見せるのでしょうか?

 ハッ!思わず立ち止まります。白い大理石の壁に大きな影。人工のライトに照らされキラッと輝く作品と影の競演です。近付いて見上げると頭上はるかに夜空が。足元の鏡をのぞき込むと奥に行くほど暗闇が広がり底なし沼に吸い込まれそうです。昼間は青空の中の「星の建築」が夜は果てしない宇宙に漂っているように見えます。「ここにあるとあなたの作品は、こんなに素敵に見えるのですよ」とイ・ブルに伝えてあげたい気持ちになります。

 螺旋階段を上がっていくと、光の靄に包まれたような不思議な感覚に襲われます。ジャーが「天国に上っていくようだ」と言ったそうですが、こんな気持ちだったのでしょうか?

 2階では「ワー!きれい」という声があちこちから聞行こえます。チュールの色が昼間より鮮やかです。私も、青木さん・杉戸さんの言葉を思い出しながら歩き回ります。「チュールは6角形の穴の開いたバレエ衣装の素材。1ヶ所だけ黄色(黄緑ではない)を使っている。ワリッド・ラードから続くところは写真の色に合わせて少しピンクに…」宝探しをしているような楽しい時間です。

 トップライトから空を取り込んだ名古屋市美術館の会場は、夜は昼とは違った姿を見せていました。暗闇の下のアートも光の中のアートも味わっていただきたい会場です。

レオレオ

コメントはまだありません

No comments yet.

RSS feed for comments on this post.

Sorry, the comment form is closed at this time.