ポロック展ミニツアー

カテゴリ:アート見てある記 投稿者:editor

 ジャクソン・ポロック展のミニツアーが17名の参加者を得て、12月18日(日)、愛知県美術館にて開催されました。展示鑑賞の前に、愛知県美術館学芸員の中西園子さんから、一時間余にわたる丁寧な解説会があり、参加者一同、現代美術の理解が深まりました。

 ジャクソン・ポロックは、戦後ニューヨークを拠点に活躍をしたアメリカ現代美術の画家です。キャンバスを床に置き、塗料を流すpouring、まき散らすspattering、たらすdropping、しみをつけるstainingといった独自の技法によって頭角を現します。とりわけ、横長の大作にすばらしい作品が残っているそうです。『ナンバー○○』という題名がついた作品シリーズがそうです。もっとも、中西さんの話では、回顧展のポイントの一つとして、初期の自画像と『西へ』という作品が米国より借用できたことが幸運だったそうです。さらに、ピカソの影響がある、英国テートギャラリーから借用した『誕生』という作品にも注目したいそうです。

 個人的には、まだおとなしい雰囲気の第3回読売アンデパンダン展(1951年、東京都美術館)の海外招待作家の一人として出品していたことを知り、驚きました。そのポロックの作品に、具体美術協会リーダーの吉原治良氏が着目し、絶賛したというエピソードは納得いくものです。

 自動車事故を起こし、44歳という若さで急逝したポロックは、その悲劇性も相まって、米国を代表する抽象表現主義のスターの一人として、記憶に残るアーティストです。今まで、日本では本格的な回顧展が開催されていなかったこと自体が不思議に思ったしだいです。

 今回のポロック展のミニツアーにあたって、ご尽力をいただいた愛知県美術館友の会事務局および中西学芸員に感謝いたします。

入倉 則夫(会員)

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