現代美術展 in とよはし

カテゴリ:アート見てある記,旅ジロー 投稿者:editor
石川理氏の太鼓

石川理氏の太鼓

 豊橋市内、豊橋駅周辺と豊橋公園周辺、愛知大学周辺、こども未来館周辺、の4地区10カ所で、「現代美術展inとよはし」が1月17日(火)から2月19日(日)まで開かれている。これは「あいちトリエンナーレ地域展開事業」のひとつで、昨年の協力会カレンダーを作って戴いた渡辺英司氏ら地元作家等10組11名が出品している。

増田洋美氏のガラス

増田洋美氏のガラス

 展示は2010年の名古屋展よりもおおむね広い場所をとってゆったりだ。石川理氏の作品は広いフロアに木の太鼓が並び、いろいろな種類の木のバチで敲いて音色の違いを楽しめる。増田洋美氏のガラスの作品は、ギリシャ風の豊橋市公会堂前の階段と広場に、見るものを圧倒するように並んでいる。味岡伸太郎氏の作品は、吉田城以来の古い石が博物館を貫いて並べてある。出品者は、渡辺英司、山本昌男、味岡伸太郎、村田弘志、増田洋美、浅田泰子&杉山健司、石川理、タン・ルイ、杉森順子、澤田榮三の各氏で、どの作品もとても個性的だ。入場は屋外屋内展示とも無料で、6カ所以上訪れてスタンプを貰うと「色鉛筆セットと三河材製はし」が貰える。名古屋市内からはいろいろな割引切符があり、新幹線を使えばそれほど時間も費用もかからない。

旅ジロー

URL: http://aichi-art.com/modern-art/toyohashi_artist1.html

味岡伸太郎氏の石

味岡伸太郎氏の石

おみやげ

おみやげ

ポロック展ミニツアー

カテゴリ:アート見てある記 投稿者:editor

 ジャクソン・ポロック展のミニツアーが17名の参加者を得て、12月18日(日)、愛知県美術館にて開催されました。展示鑑賞の前に、愛知県美術館学芸員の中西園子さんから、一時間余にわたる丁寧な解説会があり、参加者一同、現代美術の理解が深まりました。

 ジャクソン・ポロックは、戦後ニューヨークを拠点に活躍をしたアメリカ現代美術の画家です。キャンバスを床に置き、塗料を流すpouring、まき散らすspattering、たらすdropping、しみをつけるstainingといった独自の技法によって頭角を現します。とりわけ、横長の大作にすばらしい作品が残っているそうです。『ナンバー○○』という題名がついた作品シリーズがそうです。もっとも、中西さんの話では、回顧展のポイントの一つとして、初期の自画像と『西へ』という作品が米国より借用できたことが幸運だったそうです。さらに、ピカソの影響がある、英国テートギャラリーから借用した『誕生』という作品にも注目したいそうです。

 個人的には、まだおとなしい雰囲気の第3回読売アンデパンダン展(1951年、東京都美術館)の海外招待作家の一人として出品していたことを知り、驚きました。そのポロックの作品に、具体美術協会リーダーの吉原治良氏が着目し、絶賛したというエピソードは納得いくものです。

 自動車事故を起こし、44歳という若さで急逝したポロックは、その悲劇性も相まって、米国を代表する抽象表現主義のスターの一人として、記憶に残るアーティストです。今まで、日本では本格的な回顧展が開催されていなかったこと自体が不思議に思ったしだいです。

 今回のポロック展のミニツアーにあたって、ご尽力をいただいた愛知県美術館友の会事務局および中西学芸員に感謝いたします。

入倉 則夫(会員)