榎 忠 展:美術館を野生化する を見て

カテゴリ:アート見てある記 投稿者:editor

先日関西に所用があって、空き時間に、兵庫県立美術館にでかけました。

榎忠については、2007年に豊田市美術館で、ギュウとチュウという企画展があり、大砲のパフォーマンスをしたことが、強烈に記憶に残っています。また、1992年には名古屋市美術館でも、<セブンアーチスト>の中で紹介されていたとのこと。

今回は、安藤忠雄の建物に挑むような形で、銃や大砲、本物の薬莢を積み上げたものや、溶けた鉛、機械部品の集積など刺激的な作品が並べられいました。この美術館はもと製鉄所があった場所につくられており、榎自身も鉄工所に勤務していたこともあり、金属を使って、現代社会の問題を提示するような作品群を、美術館の空間に置くことで、野生化する、という試みをしたようです。

キャプションは全くなく、簡単な解説があるのみ。また撮影自由、というのもいつもの美術館の展示とは違っていました。

まず入り口には、砂型で作ったAK-17,AR-15という銃が一列に並べられており圧倒されました。つぎの部屋には、大砲と銃、そのあとには 夥しい数の薬莢の山。その他、ブルーム、サラマンダー、ギロチンシャーと名づけられた作品が展示されており、金属のもつ冷たさ、やわらかさ、などのさまざまな表情と質量に圧倒されました。

最も美しかったのは、機械部品を磨き上げたものを、都市のように並べた作品。豊田でも展示されていましたが、今回はその数倍もある量で、照明にも工夫がされていて、ちょうど都市のいちにちの変化のように感じとれ、いつまでも見とれてしまいました。

また、榎のこれまでの活動を紹介するビデオもあって、このユニークな作家のさまざまな側面がわかります。

いまちょうど神戸ビエンナーレもひらかれていますので、おでかけになってはいかがでしょうか。

林 葉子

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