街角の彫刻を楽しむ(2)―白川公園の彫刻群―

カテゴリ:アート見てある記 投稿者:editor

街角の彫刻第2弾は白川公園。ここには素晴らしい彫刻が目白押しだ。市美の玄関前に建つ、アレキサンダー・コールダーの「ファブニール・ドラゴンII」に気付かぬひとはない。では、建物裏側のイサム・ノグチ作「魂」(Spirit:写真)はどうか。コールダーの作品は作家に指定されたペンキで定期的に塗り直されていることもあり、華やかで目立つ。ノグチのほうは、洗ったりもしないのだろう、ひっそり佇んでいる。市美の前と後ろに、20世紀アメリカの巨匠2人の作品がある。建物の設計者 黒川紀章の鉄の彫刻「テトラユニット」も玄関右脇にある。これは彫刻として作られたのではなく、大阪万博に際して建てられた建築のモジュールのひとつなのだが。それにしてもこの作品は目立たず、朽ち果てて行くだけのような感じだ。

園内を見渡せば、バリー・フラナガン作「ボールをつかむ爪の上の野兎」、野水信作「二つの石を貫く円筒」と「跨ぐ放物線体」、マグダレーナ・アバカノヴィッチ作「知者の頭」と「黒い立像」を始め、アントニー・ゴームリー、デイヴィッド・ナッシュ、新宮晋、山口牧生など素晴らしい作品があちこちにある。また、伏見駅から歩いて来ると、交差点際に山本眞輔作「宙へ」が金色に輝き、信号待ちの時などに嫌でも目に入る。彼らは、みなひとかどの彫刻家達なのだが、何人ご存じだろうか。彫刻は絵(タブロー)に比べると人気がない。身近にあると、その良さに気付きにくい。市美の学芸員のどなたかにお願いして、この素晴らしい彫刻群の見学会を催したいものだ。これらの彫刻を紹介したパンフレットも作られていて、市美でもいくつか手に入る。

佐久間 洋一

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