ふたつの故宮博物院、初の交流

カテゴリ:アート見てある記 投稿者:editor

台北と北京の故宮博物院の合同企画展「雍正帝-清・世宗文物大展」が、2009年10月7日から2010年1月10日まで、台北の故宮博物院で開かれていた。大陸から台湾に美術品が貸し出されたのは初めてのこと。今回は北京の故宮博物院から37点が貸し出され、上海博物館からも数点が海を渡った。中華人民共和国には美術品を借りるための法律が整備されていないため、台湾政府(中華民国)は大陸側に収蔵品を貸し出すことをためらっていると云う。この度、一方的に貸し出されて、展覧会が開かれたのは、親中国の馬英久政権のおかげだろうか。

雍正帝(ようせいてい)は清の第5代皇帝、姓は愛新覚羅、名は胤禛(いんしん)、廟号は世宗、謚号(しごう:おくりな)は憲皇帝。在世時の元号を取って雍正帝と呼ばれることが多い。雍正帝は1678年12月13日康煕帝の第4子として生まれ、45歳で皇帝に即位、1735年10月8日に57歳で没し、在位年数は13年であった。中国史家 宮崎市定著「雍正帝 ―中國の獨裁君主―」(1950)と云う岩波新書で、我が国において広く知られるようになった。宮崎氏は、康煕帝と乾隆帝の二大皇帝の影に隠れていた雍正帝に光を当てて紹介した。

今回の展覧会では、雍正帝の残した246点(組)もの文物を取りそろえて、彼の全体像をとらえるべく紹介していた。文物には、档案、史籍、地図、肖像画、絵画、書法、硯、磁器、漆器、瑪瑙、琺瑯器などがあった。それらは、台北故宮美術院と北京故宮博物院、上海博物館、中央研究院歴史語言研究所(台北)および個人の所蔵から出展された。漢字と満州文字で書かれた様々な文書からは、彼の政治姿勢や思想が窺えるそうだ。陶磁器、絵画、家具などからは、雍正帝の審美眼が非常に高いことも良く示された。展覧会は終わったが、下記のウエッブサイトに日本語の解説も載っている。これからこのような文化交流が盛んになって欲しいものだ。

佐久間 洋一

参考URL
故宮博物院:http://www.npm.gov.tw/ja/visiting/exhibit/exhibit_03.htm
雍正帝展:http://www.npm.gov.tw/exh98/yongzheng/jp01.html

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